先生 × 生徒シリーズ (with かずねちゃん)
3
なんで僕が歴史なんて微妙すぎるものを勉強しているのか不思議に思う人もいるだろう。
実際のところ母親にも初めは
「何言ってのあんた、歴史赤点ばっかりじゃない。」
と、言われまくったほどだ。
僕は頭は悪くない。
でもなんで歴史が赤点だったかというと、歴史の授業は月曜の一限だった為まともに授業が受けられなかったのだ。
誰のせいかはあえて言わないでおこう。
僕自身、歴史なんてものに興味はなかった。
今現在起こっていることが全てであって、過去のことを知っても意味はないと。
繰り返さないように学ぶのだと、教師は繰り返しそう言っていた、けれど。
僕のとった行動が、日本がどう・とか、世界がどう・とかっていうことにつながるはずもないわけで。
でも、わかったんだ。
あの暗い暗い時間の中で。
いっそ胸が引き裂かれたほうがましだと思うほどの鋭い痛みの中で。
ああきっと、こんなに僕が苦しもうと世間は何も変わらないんだ、と思ったら。
この気持ちも、この苦しみも、僕が消えたら誰も知らないことになってしまうんだ、と思ったら。
確かにここにあるはずのものが、誰にも知られないことで、なかったことになる。
きっと、ずっと前から、幾千年も繰り返されてきたこと。
誰にも語り継がれない、記憶。歴史。
みんな同じなのに、誰も知らない。
だから歴史を学ぼうと思ったのだ。
知られなかったその想いが確かに存在していたことを、忘れないために。
そして僕自身を、忘れないように。
無かったことになんて、したくない。
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