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番外編
パーティータイムはその後に

力の限り啼きつづけるそれは、


パーティータイムはその後に



空を見上げると一つ、
真っすぐな飛行機雲があった。

頭の隅が、割れるように痛む。


足元に目を向けると、
咲きかけた小さな花があった。

目の奥が、刺されるように痛む。



どんなに綺麗でも
どんなに真っ直ぐでも

こんなにも容易く。



不意にそこにしゃがみこんで。

踏みつけた花の
濃さを増したその花びらを
指でなぞる。



ガリ、という微かな音。
肉を裂く、嫌な感触。


こんな体。こんな心。
ここに或る意味すら曖昧なのに。



指先に付いたばかりの自分の血を舐めると
もうとっくに人間なんてやめたはずなのに
その血は確かに血の味で



痛い。

胸が、目が、心が。
こんなにも人間な…自分が。




『叶多様。』

冷たい幾つも声と同時に
首に感じる手刀の気配。


薄れる景色の中で


濃い紫の花弁を一つ、手にとった。




(目が覚めたら、パーティタイムが待っているだろうから)


***




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