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「ここが俺の受け持ってる、要するにお前が今日から編入するクラスだな。1年A組。」
1−A、というプレートが扉の横にかかっている。
ここは普通校舎の三階だ。
冷暖房完備。でも土足厳禁。
正直逆にしてくれれば楽なのに。
「お前さ、その無反応やめてくれる?ってか聞いてんの?」
「聞いてます。」
というか俺自身としては反応だってちゃんとしてると思うのだが。
ほら、話すときは人の目を見て、ってよく言うでしょ。
だから目線は相手と合わせてるし。
充分じゃないのか、それで。
円満な人間関係を築きましょう、ってことなんだろうけど。
そんなもの、どこで使う?
大切な人間が出来ることで背負う弱さ。
未来の居場所が、違う人で塗り替えられていく恐怖。
意味の無いものばかりじゃないか。
「じゃあまあ、俺が呼んだら入って来いよ。」
またあの興味津々な目で見られるのかと思うと吐き気がする。
とはいえ今入っていったところでそんなふうになるのは間違いないのだし、
言い返したところで、こいつが俺のことを呼んだら俺が入るってのも、決定事項みたいだし。
要するに面倒なので返事はしなかった、ということで。
少し上から、眉を潜めたのか不愉快そうな雰囲気が伝わってきたけれど、無視。
これからさらに面倒くさくなるのは目に見えているというのに、いちいちそんなのに構っている暇は無い。
(あー、ほんと、ガラスでも割ろうかなぁ。)
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