4649 5 「頭痛いー…」 結城が入れてくれたコーヒーを淹れたマグカップから、白い湯気が上がっている。 その横に頭を置いて、斜め下からそれを見る。 思っているより、それは長く上へと昇っていくことに気づいた。 それでも、まるでそこになかったかのように消えてしまう。 無性に、赤い赤い血が見たくなった。 (あーあ。) やる気が起きないってこういうことか。 今までは言われたことは全て「こなさなければいけない」ことだったから。 退屈だとか、やる気の有る無しは関係なかったけど。 学校に行ったとしても何も変わらないのだ。 真面目に授業を受けてどうする?得られるものなどないのに? 出席日数なんてそんなの俺には関係ない。 だって正直に言ってしまえば、俺が何をしようがここから追い出されることは絶対にないのだ。 でも目立つようなことは、したくない。 周りに人が増えれば、その分共有する時間も増える。俺を知る人間が増える。 それは俺にとってはマイナスでしかないのだから。 「学校嫌だな…。」 「アホかお前、まだ授業すら始まってないぞ。てか昨日なんでいなかったんだよ。」 お、その様子だと結城は始業式に間に合ったのだろうか。 「昨日?迷っちゃってさー。」 この学校無駄に広くない? 散歩するだけの予定だったのにさあ、と言ってみる。 ああ、そうだ。 どうやら結城は俺に興味を持ったらしいので、適当に仲良くしておくことにした。 だってそこで拒絶したら怪しいし。 未来は今までもこれからも一人だけ。 揺らぎそうになるのは、俺が弱いから。 それに気づいたって事も、大きな要因だよね。 [*前へ][次へ#] [戻る] |