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重厚な扉に手を掛けて、中へ押す。

この学校はどこもかしこも中開きで嫌だ。
意外にもその扉はあまり重くなく、音を立てずに開いた。


中へ一歩入ると、顔面を狙って右横から蹴りが飛んでくる。
しゃがみこんでそれを回避。

ちっ、という小さな音が聞こえた。
舌打ちか、髪が少し切れたか。この程度の相手なら前者だろう。

正直、期待して損した気分だ。

立ち上がると同時に鳩尾に拳を叩き込む。
が、それは寸前のところで相手の掌に防がれ。


(…予想通り。甘いな。)

それはフェイク。

左手を防がれたことで生まれた反動を利用して、右手を床につく。
倒立の要領で足を振り上げると、見事にそれは相手の右頬にヒット。

そのまま相手は横の壁にぶつかる。


受身をとれたかどうかは定かではないが、一応手加減はしたので骨は折れていないだろう。
気絶も、多分していない。


下手に怪我をさせて、こいつのぶんの任務を背負うことになるのは間違いなく俺だ。
誰がそんな面倒なこと。

別にこいつのことを配慮したわけじゃない。
むしろ俺の個人的な考え方としてはぶっつぶしてしまいたいところだ。

『弱肉強食』。

この世界にルールなんて存在しないけれど、それは確かに絶対なのだ。
決まりごとでも何でもない。
単純明快すぎて、当たり前すぎて、言うまでもないことなだけ。


「弱いやつは、死ぬ。
生き残るには、強くあれ。」


負けることは、死と同義だ。
使えないものほど、要らないものはない。



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