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「お前、名前は?」
しろいひとが、きいてくる。
ぼくはだれにもかわれてない。のらねこってやつだ。
「ニャー。(ないよ)」
まあ、いったところでわかってくれるはずもないんだけどね。
「そっか、ないのか。」
あれ。つうじた?
…そんなはず、ないか。
ぼくとしゃべれるにんげんなんて、いるはずない。
だって、ぼくはねこだから。
にんげんのことばをいつもきいてるから、ぼくはにんげんのいってることがわかるけど、
にんげんは、ぼくらのことばはわからない。
それは、あたりまえのほうそく。
おかあさんも、そういってたし。
だから、ことばがつうじるわけなんて、ない。
わかってる。
わかりきってるんだ、けど。
それでも、このひとなら…っておもうのは、ぼくが、まちがってるのかな。
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