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* ?? side *


始業式なんてかったるい行事、出るつもりはなかった。
あんなもの、出ても出なくても同じだ。

その後にある始業HRは委員や何やらを決めるので、仕方ないから出るが。
担任が面倒なやつだったら、勝手に委員を押し付けられてしまう。

性格上、一度任されたものはそれが本意ではないにしろきちっとやらないと気がすまないのだ。


でも、始業式はそうじゃない。



低血圧に加え毎日夜も遅い俺は、必然的に朝は苦手だ。

ましてや、晴れている日はなおさら。
闇に慣れてしまった目には、太陽の光はまぶしすぎて、キツい。


だから、今日たまたまこんな早い時間に起きていたのは、本当に、たまたま。


俺も、新しい同室者の天苗由奈も、中学からの持ち上がり。
あいつももちろん、俺は朝起きないことを知っている。
だから声はかけられなかった。
目覚まし時計なんてそんなものもない。


けれど起きてしまえば、ベッドの中で動かずにいるのも俺は嫌いで。


けだるい体を無理矢理叩き起こして、気づいたらバルコニーに出ていた。

俺は別にヘビースモーカーというわけではないけど、朝起きたあとに煙草を吸うのがいつの間にか習慣になっている。


例えこれが見つかっても俺は絶対に、退学にならない。
確証をもって言える。

その理由は、この学園の、いわゆる『特別履修科目』というのに関係があるのだけれど、それはまあ、また後々。



バルコニーに出た俺が、風が何となく冷たかったので上着を取りに行くか迷っていると、ふと視界の隅に何かが動いているのが見えた。
気配は癖で消してある。

だからなのか、視線をそちらに向けても、そいつが俺に気づくことはなかった。




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あきゅろす。
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