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この学園では、普通の履修教科の他に、特別専門教科がある。
平日の授業は5限まで各50分。それからあと二限分、特別専門教科を履修する。
音楽関係や、スポーツ関係、将来会社の跡取りとなる人は経済学や帝王学などの授業が主だ。
その他にも、少数で特別な授業を受けているやつらもいる。演技とかね。
大抵は入学する前にそれが通達されているのだが…俺はまだ決まっていない。というか知らされていない。
想像は出来るけど。
どうせ組織関係のことだろう。
そうじゃなかったら、銃を使った競技、とか。弓道とかでも結構いける。
…というわけなんだけど、まぁ、脱線した話を戻そう。
目の前の問題はまだ、まったくもって解決していない。
「あ、そうだ。」
俺も、一緒に遅刻してしまえばいいじゃないか。
入学式に出なかったのだから、始業式に出なくても問題ないだろう。
ただし理由は結城のように寝坊したのではなくて、散歩していたら迷った、ということにして。
よし、善は急げ。
結城が起きてしまったら意味が無い。
今の時刻は、8:25。
ちょうど沢山の生徒が寮を出る頃だ。
つまり、人が大勢いる。
(他の生徒が、俺が変なところに行くのを目撃したらまずい…よ、な。)
きちんと考えて、俺はバルコニーに出る。
鍵はいつも持っている小型強力磁石できちんと閉めた。
こういうところはきちんとしないとね、一応。
「じゃあま、行きますか…っと」
ここは四階。
涼しげな風に少し眼を細めて、そのまま手すりを掴み。
飛び降りた。
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