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「うん…物分りがよくて助かるよ。じゃあ、もう一つ。生徒会には、近づかないほうがいい。」
生徒会。名前からなんとなくどんな会なのかは想像がつくけれど。
近づかないほうがいい、ってどういうことだ?
「詳しいことはまぁ後々わかると思うから省くけど…
人気投票で選ばれた奴らの集まりなんだよ、生徒会っていうのは。
もちろん容姿は抜群に整っているから、親衛隊なんてものが各自にあるし…。」
「親衛隊…ですか?」
何それ。初めて聞く類のモノだ。
「うん。ファンクラブが過激になっちゃたみたいな感じかな?
もしかしたら藤原くんにもすぐに出来るかもね。
で、その親衛隊っていうのは、対象に対して近づいた人間を徹底的に排除しようとするんだ。
退学した人も今までに何人かいるよ。だから気をつけて。
ただでさえこの学園に転入してくる人は稀だから…。
藤原君はきっとすぐに生徒会から目をつけられると思うけど、関わらないのが、一番だよ。」
(…会長さまにはもうなんか完璧に目つけられてるっぽいですけどね?)
別れ際に見せた、あのよくわからない、何かを言いたそうな表情が思い出されてくる。
あの人は愉しめる価値がありそうだと思う。
まぁ別に、排除とか物騒な言葉が聞こえたけど、まさか裏のことは関わってないだろうから問題ない。
ただ単純に、いじめとかそういうこと。だと思う。
そいつらの遊びに付き合ってやるのも、悪くないゲームかもしれない。
浮かんできた笑いを必死で飲み込んで、それでも表に出てしまった口元の笑みを、紅茶のカップで自然に隠す。
(…平和すぎて、反吐が出そうだ。)
「ごちそうさまでした。」
音もなくティーカップをソーサーに戻し、渡されたカード型のキー兼クレジットカードを手にして、叶多は寮監室を後にした。
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