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そんなことを考えているうちに、いつの間にか寮の玄関ホール。
驚くほどの広さ。学生寮にしては。
俺にとっては別にこんなの、どうでもいいことでしかないけど。
「ここが寮。後のことは、寮監に聞け。じゃあな。」
「はい、ありがとうございました。」
「それと、お前…」
「はい?」
にっこりと、笑顔で振り向く。
笑っているわけじゃない。これは、拒絶。
「あ、いや…なんでもない。じゃあな。入学式でまた。」
「はい、ありがとうございました。」
当たり障りの無い会話。
唯一つ、会長が言わなかったことを除けば。
興味はあるけど、関心はない。要するにどうでもいい。
愉しいことは、好きだ。どんなことより。
その為に、自分が、周りがどうなろうといい。
でも、一つだけ。その中に自分は関わらないっていうのが大原則で。
『人と関わりたくない。』
この滅茶苦茶な俺の中に、唯一、絶対的に違えてはならないもの。
関わって、同じ時間を過ごして、でも俺は何も感じない。意味がない。
そんなことの為に俺は、未来を忘れていきたくはないのだ。
誰かと、心が近くに在ること。
未来としか為し得なかったそれが、未来以外の人と関わることで消えていってしまう。
”タイセツな誰か”はもう、要らない。
いつかは居なくなる。俺のせいで、俺を残して、俺を…一人にして。
だからどう、というわけではない。
同じことを繰り返すほど俺は馬鹿ではないし、未来は、あの人ただ一人でいい。
…わかってる。逃げてるんだ、俺は。そのくらい。
でもだって、進んだところに、何がある?
何度も同じ問いを繰り返す。廻って廻って…出口は一つだけ。
「愉しいことを、する。俺は俺の為に。」
観客でなくちゃ、ゲームは愉しめない。
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