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大体、誰かに「恋焦がれる」なんて感情を、俺が持ち合わせているはずがないのだ。
知らない、んじゃなくて、存在しない。
無い。はじめから。
俺が持っている感情全てを合わせたって、せいぜい一般人の10分の1程度だろう。
俺の場合は、物事を認識しても、そこに感情は生まれないから。
それが起こって、だから自分がどう思う、というところまで発展しないのだ。
一番強い、快楽を求める本能だけが動く。
結局のところ、楽しければ他はどうでもいい。自分自身でさえ。
あの人が…未来がいなくなってから、ことさらそれが強まった気がするのは、真実だと思う。
「お前、その髪と目は、自前か?」
門を通ってしばらく道なりに歩いていると、会長から声がかかった。
そう、俺はなんと銀色の髪(白とは少し違う)と赤色の瞳という、日本人を通り越してもはや人間ではないような外見をしている。
まぁ、確かに人間じゃないっていっちゃえば人間じゃないのかも。
でも逆に、じゃあ何なんだって言われたらやっぱり俺は人間だとしか言いようがない。
異様に目立ってしまうのはわかっていて、それでも染めなかったのは、未来との関わりが消えてしまうのが怖かったから。
そう言ったらきっとあなたはまた笑うんだろうけど。
それでも、二者択一の中で、俺は迷い無く未来を選んだ。
俺の中での優先順位はいつも未来がぶっちぎりで一位で、任務が二番目、それ以外は同率三位。
理由は簡単だ。
未来は俺にとって『かけがえの無い人』で、『唯一』で、『大切だった人』。だから。過去形だけど。
任務は一番手っ取り早く快楽を得られるから。
後はどうでもいい。だからみーんな同じ。
せいぜい楽しませてね、っと。
「おい。」
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