在世界一號, 11 でも、もう一度言う。 会長を切り捨てたのは、間違いじゃなかった。 俺のためには、それが一番よかった。 そう言い聞かせる。 音楽と、恋。 どちらを取るのかなんて、自分に聴かなきゃわからないほど馬鹿じゃないから。 その後、午後の公演まで何をしていたのか全然覚えていない。 気づいたら舞台の真ん中で、眩しいくらいのライトを身に受けていた。 手には馴染みのあるバイオリン。 そういえば去年の文化祭は、吹奏楽部と一緒に演奏したんだっけ。 でも今年は、俺一人。 シートの真ん中らへんにある特別席を見やると、そこにいたのは、理事長と書記の左近だけ。 副会長はあまり来ないし、右近もどちらかといえば来ないことのほうが多いけれど… やっぱり、会長は、いなかった。 これでいい。 これで、いい。 色んな考えが頭の中を巡って、でも深呼吸をしてそれらを全部クリアにする。 もういいや。 バイオリンの為なら、全部どうでもいい。 俺はこれのために、これのためだけに、生きるんだ。 [*前へ][次へ#] [戻る] |