[携帯モード] [URL送信]

在世界一號,
10

頭がもやもやする。


何これ。
こんなのヤダ。要らない。


「うーっ」

でも涙が止まらない。

なんで?


別にかいちょーがどうしてようと、転入生が何してようと、関係ないはずだった。

だって俺はかいちょーのためにここにいるけど、それと逆方向の矢印が存在するわけじゃないし
転入生は嫌いだから関わりたくないし。


かいちょーの為にバイオリンを弾くのを辞めると、言った。

あの言葉は真実だ。

あの人を思って弾くのは、俺にとって辛すぎた。
俺はとてつもなく脆くて、それに気づいて、なんとか踏みとどまったはずだったのに。



でも
それでも涙が止まらない。


嫌だとか、そういうのとはまた違った。
なんていえばいいんだろう。

喪失感、が一番近いかもしれない。

たとえば、会長の「大事なもの」リストがあったとして、大事な順に上から並んでいるのだとしたら。
自惚れでもなんでもなく、俺のバイオリンは上位にいたと思う。
でも、今は俺よりも転入生が上の位置にあるとわかって。

なんでそれがもやもやするのか。

今まで目をそらしてきた、その事実。本当はわかってた。


俺は多分会長が好きで、
俺にとって会長に必要とされることが当たり前すぎたんだ。


そして、それを切り捨てたのは、紛れも無い俺だった。



[*前へ][次へ#]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!