在世界一號,
10
頭がもやもやする。
何これ。
こんなのヤダ。要らない。
「うーっ」
でも涙が止まらない。
なんで?
別にかいちょーがどうしてようと、転入生が何してようと、関係ないはずだった。
だって俺はかいちょーのためにここにいるけど、それと逆方向の矢印が存在するわけじゃないし
転入生は嫌いだから関わりたくないし。
かいちょーの為にバイオリンを弾くのを辞めると、言った。
あの言葉は真実だ。
あの人を思って弾くのは、俺にとって辛すぎた。
俺はとてつもなく脆くて、それに気づいて、なんとか踏みとどまったはずだったのに。
でも
それでも涙が止まらない。
嫌だとか、そういうのとはまた違った。
なんていえばいいんだろう。
喪失感、が一番近いかもしれない。
たとえば、会長の「大事なもの」リストがあったとして、大事な順に上から並んでいるのだとしたら。
自惚れでもなんでもなく、俺のバイオリンは上位にいたと思う。
でも、今は俺よりも転入生が上の位置にあるとわかって。
なんでそれがもやもやするのか。
今まで目をそらしてきた、その事実。本当はわかってた。
俺は多分会長が好きで、
俺にとって会長に必要とされることが当たり前すぎたんだ。
そして、それを切り捨てたのは、紛れも無い俺だった。
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