在世界一號,
9
自販機は一階のロビーにしかない。
各階に置いてもよさそうだけれど、あまり利用者がいないためだ。
一階にあるのはロビーとエレベーターホールだけ。
ただしそのロビーがとてつもなく広く、ソファやテレビが置いてあるため、談話室のような雰囲気をかもし出している。
さすがの時間帯だからだろうか。
電気は最低限しかついていなかったが、俺は、そこで何かが動くのを見た。
それは、会長と転入生だった。
「あ…、」
何かを言いたいわけじゃなかった。
俺には関係の無いことだ。
でも、何かを言わずにはいられなかった。
転入生が、泣いている。
会長の手がその肩に乗っている。
縮まる距離。
耐えられずに、俺はエレベーターホールへと駆け出した。
携帯電話を落としたのにも、気づかず。
逃げるようにして、エレベーターに乗り、しゃがみこんだ。
理由は、わからなかった。
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