在世界一號,
5
音楽は、いい。
今回のことで、俺はそれを再確認した。
音楽は、バイオリンは、俺を受け入れてくれる。
間違いなく誰よりも支えてくれる。
これさえあれば俺は生きていけると、本気で、思った。
「で、何。」
今回の件について俺は、ある決意をしていた。
言う気はあまりない。
でも鋭いこいつのことだから、もし聞いてきたら答えてやろうとも思っている。
「お前、何にそんなイラついてんだ。」
「それ本気でわからなくて聞いてるの?」
ああ、そう、言ってなかったけど、俺は怒ると口調がはっきりする。らしい。
別に普段もふつうにしゃべってると思うんだけどなぁ。
「悪ぃ。
なんでそんなに柚を嫌うのか、って聞いてる。」
「…柚って、転入生のこと?」
「ああ。」
「嫌ってるわけじゃないよ?」
嘘。あんな奴大嫌いだ。
でも彬はあいつが好きなんだろ?
「お前は理由も無く誰かに暴言吐いたりしない。」
「…お前に俺を語られたくなんてないね。
俺がどんな気持ちでここに留まっているかすら知らないくせに。」
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