在世界一號, 1 文化祭が近づいてきている。 そろそろ涼しくなってくる10月半ば。 今年の夏は稀に見る猛暑で、9月が終わるまでほぼ連日最高気温が30度を越えるほどだった。 学校内はいつでも気温が一定に保たれているので それを感じたことはあまりなかったけれど、それでも湿度が異常なのは感じていた。 どうもバイオリンの調子が思わしくなかったからだ。 この間コンサートから帰ってきたときに感じた違和感が、ここにきてやっと解消されてきた。 でもそれもあまりうれしくない。 聞いてくれる人がいないなら、音の世界なんて狭い。 もともと聞いてくれる相手がいる前提でつくられたものなのに。 転入生の人気は相変わらずだった。 親衛隊もやや小規模ではあるが出来たらしいし、 この前帰ってきた左近右近もそれなりに気に入っているらしく毎日生徒会室にいる。 文化祭の投票で上位に入ったら、補佐にするという話も聞いた。 理解はした。でも、納得はどうしても出来ない。 「なんでだろうね…」 俺だけなのだろうか。転入生が嫌いなのは。 俺が、変なのかな。 [次へ#] [戻る] |