在世界一號,
10
その日は、俺は一日音楽室にこもりっぱなしだった。
携帯電話が鳴り続けている。
もう、全部嫌だった。
外のどこもかしこもあいつに汚されている気がして。
誰にも会いたくなかった。気分はもう最悪どころの騒ぎじゃない。
そして、一番の理由は、そう、会長に会うのが、怖かった。
転入生に遭遇するのとは、また違う怖さ。
CMが放送されて、数日。
俺の周りは、変わった。
何が違うのかなんてわからない。けれど、違う。
何もかもが、変わった。
変わってしまった。
いい意味でも、そして悪い意味でも。確実に。
今まで雑誌に何回かのったことはあったけれど、よく考えたらTVは深夜番組を除けば初めてだ。
初めてあれが流れた日から、携帯電話の電話がよく鳴る。今も鳴っている。
非通知のその文字の向こうの誰かは、俺になにをさせたいのだろう。
郵便物も異常に増えた。
パソコンのメールアドレスに、知らない人からのメールも、沢山ある。
もう、嫌だ。
俺はこんなことがしたかったんじゃない。
俺が、
本当にしたかった こ と は …
「あれ…」
どくりと、心臓が嫌な音をたてた。
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