在世界一號,
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** 響side **
夏休みが、終わって一週間が経った。
俺が海外に行くことはしょっちゅうだし、学校には来れど授業に出ないことも多いから、
クラスの奴らの対応は今までと変わりなく。
もともと仲がいい奴がいるわけじゃない。
授業に出ても休み時間や寮で接することがないから知り合いすら増えないのだ。
もちろん向こうは自分のことを認識していると思う。
でも、だからこそ、俺の周りには誰もいない。
その方が静かでいいか、とも思うから別になんとも思っていないし。
まあでも、知り合えたらそれなりにうれしいわけだ。
友達にはなれなくてもいいから、廊下で会って他愛無い話を出来るくらいには?
…なんて。
(現状に困っていないなら、変わらないほうが楽でいいか。)
その現状も今、急激に変化しつつあるけれど…
言いたくないが俺は、この一週間で、転入生の面倒くささを嫌というほど実感することとなった。
悪い意味で、予想を遥かに上回っていた。侮りすぎた。
『寮、登校、食堂、生徒会、下校、そしてまた食堂、寮。』
既に一日で転入生と関わることになる場所・時間のサイクルが出来上がっている。
しかも本来なら一般生徒が立ち入ることの出来ない場所での遭遇がほとんどだ。
寮然り、食堂の特別スペース然り。
さらに俺を苛々させているのは、そう。
いつも、彬が、転入生の傍にいることだ。
この際笹目はどうでもいい。
俺をこの学園に縛り付けておきながら、あいつ、この一週間一度も音楽室に来ない。
(…ふざけんな馬鹿やろー。)
(いっそのこと帰ってこなけりゃよかった。)
(なんで俺がこんな面倒な思いしなきゃいけないんだよ。)
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