在世界一號, 10 「…ン、シィアン。」 「……ぅ、ん?」 起きたらかいちょーのドアップでした。まる。 …じゃなくて。 「近くない?」 「気のせいだ。」 いやいやいやいや。 近すぎて視点あってませんから。目と鼻くらいしか見えませんから。 ま、美形だから全然見苦しくなんてないのだけれど、それとこれとはまた別の話だ。 「どいてー。起きれないー。」 いつの間に寝てしまったのか、俺はソファに寝っ転がっていた。 全然覚えていない。 会長は背もたれに右手を付いていて俺を覗き込んでいる。そして顔が近い。 これじゃ起きれないじゃないか。 「何、かいちょー俺が寝ちゃって相手してあげられなかったから、」 …拗ねてるの? そう続けようとして、俺は口を閉ざす。 会長の目があまりに真剣で。 ああ、来るな、と。 そう思ったから。 [*前へ][次へ#] [戻る] |