在世界一號, 8 カチカチとキーボードを叩く音が広い生徒会室に響く。 現在時刻、6時22分。 つい先ほど転入生がそろそろ帰ると言い出した。 会長と副会長は寮まで送りに行ってしまったため、今は生徒会室に俺一人だ。 もしかしたらこのまま部屋に戻るのかもしれない。 ちなみに書記の飯泉左近・右近(双子だ)はまだ実家にいるらしい。 あの二人の家は武道一家で、左近は弓道の、右近は空手の特待生。 今回の夏は二人の予定があわず家に帰るのが遅かったため、帰ってくるのも遅いのだとか。 律儀に俺のパソコンにメールが入っていた。 そういえばあの二人は転入生のことを歓迎しているのだろうか。 左近はそういうの全く興味なさそうだけれど。 右近は正直よくわからない。 (これ終わったら俺も帰ろう。) もうすぐ今作っている書類が終わりそう、という時だった。 「あれ、かいちょー?」 会長が戻ってきた。 驚きだ。 「副会長はー?」 「部屋に帰った。」 「ふうん。」 会長は一番奥にある席につくと、上を向いてため息をついた。 「あ"ー…めんどくせー」 「何がー。全然仕事して無いくせにぃ。」 「してるっつの。あいつがいないときに。」 [*前へ][次へ#] [戻る] |