在世界一號, 5 「それは…さみしいね。」 そう、その人はこう続けたんだったと思う。 「すごく、悲しいね。つめたいね…」 「なんで?さみしくないよ?」 「一度知ればわかるよ、きっと。」 …それがどんなに、あたたかい気持ちなのか、ね。 …それがどんなに、しあわせな想いなのか、ね。 ごめんね。 今もそれが俺にはわからないよ。 綺麗なものが好きだ。 でもこれはあの人言ってたこととは違う。それはわかる。 だって俺は今、あたたかくなんてない。 誰を見たってそう。 別に興味もない。 会長の声を聞くと少しだけ安心するけれど…これはそれが綺麗なものだから。 俺が大好きなものだから。 そう、それだけだ。 [*前へ][次へ#] [戻る] |