Long Song
2
目覚めると、横に人の温もりがあることに驚いた。
体もすっきりしているから、どうやら気を失った後にこいつが綺麗にしてくれたらしい。
よっぽど気に入られたみたいだ。まぁいいかな、こいつなら。
するりとベッドから抜け出してサイドテーブルに向かって座る。
昨日、聞こえた唄を、俺の歌にするために。
‐ 響side ‐
「 『選ぶ』ことと、『捨てる』ことは違う…」
「永久?」
起きると向かい側にあるサイドテーブルに向かって永久が座っていた。
よっぽど集中しているみたいで、呼んでも気づかない。
「俺は…選んだ、のか…?今を?過去を?」
近づくと、永久の小さな声と、備え付けの便箋に言葉が羅列されているのが見えた。
詩?
ぽんぽん、と肩を叩くと、こっちが驚くほど肩が大きく跳ねてその手を振り払われた。
「あ…、おはよう…ございます。」
振り向いて俺だとわかったからなのか、苦笑いを浮かべる永久。
「すいません。癖で。」
「いや、別にいい。それ…詩か?」
それ、と言うのと同時に便箋を指差す。
二枚の便箋の片方は多分思いついた言葉を書きなぐったのだろう。
余白がほとんど見当たらないほどびっしりと単語が書かれていた。
もう一枚の方はきちんと列にそって文が書かれている。手紙には見えないから、詩かと思ったのだが。
「いえ、詩ではないんですけど…えっと」
「歌詞か。」
「なんだ、やっぱり知ってたんじゃないですか。」
「知らないわけないだろ。天下のJaxだぜ?」
「うーん、どうもありがとうございます?っていうのが妥当ですか?」
「俺に聞かれてもなー」
「ですよね。」
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