短編小説
あり得るかもしれない未来 2.5
『高町家の皆様へ
お久しぶりです。桃子さん美由希さんなのはちゃん、他にも、何も言わないままだった皆さん、黙って出て行く事になってしまってすみません。
士郎さん恭也さん、見送って頂きありがとうございました。それと、説明等を押しつけてしまい申し訳ありませんでした。
遅くなりましたが皆さんお元気でしょうか?
こちらは元気でやっています。
今僕がいるのは北海道です。と言っても、ちょっと寄っただけでもう出るんですが。折角なので連絡だけでもと手紙を書く事にしました。
まあ、同じ世界なら手紙を投函出来るというのが大きいんですが。
冬の北海道は綺麗でしたが寒かったです。野宿は断念しました。なので今度こちらに来た時は暖かい所に行こうと思います。まあ、この景色をもう一度見るのも良いかとも思いますが。
僕の方は今までサボっていた仕事が積もりに積もっていて、人生100年と考えた場合の残りの人生を、睡眠時間を削って全部当てても半分なんて夢のまた夢という、泣けてくるのにその泣く時間すらもったいないという素敵な状況です。ええ、今北海道に来たのも仕事の息抜きというか現実逃避ですとも。
次に連絡出来るのが何時になるかは解りませんが、皆さんお体に気をつけてお過ごし下さい。
桐原 翔
追伸
なのは、はやて、フェイト、
君達は自分で気づかずに無理をしてしまう子達なんだから、周りの意見もちゃんと聞いて、忘れず休息と休みを取るように 』
「翔君は相変わらずね〜」
翔から手紙を読み終わった桃子は呆れたように、でも嬉しそうに微笑んでいる。
「全くだ。だが、元気なら良かった」
士郎も笑顔だ。
「うむ」
頷く恭也にも笑顔が浮かんでいる。
「そうだね。けど、睡眠時間全部当ててもって、どれだけなんだろ」
仕事といわれ「書類」を連想した美由希は、積み重ねられた紙の「海」の中で泣きながら書類を書いている翔を想像してしまい苦笑している。
「・・・・・・・・・」
そんな中、不満そうに頬を膨らましている少女がいる。
「どうした、なのは」
そんな少女に訝しげに声を掛ける恭也。
「お前も翔からの連絡は待っていただろう?」
「手紙だなんて聞いてない!しかも行ってももういないんじゃない!!」
”ヒューを説得する”と意気込んでいただけに肩透かしを食らい溜まっていたモノが恭也の言葉に吹き出した。
「絶対電話とか念話とか、お話し出来るのだと思ってたのに! ヒューのバカーーー!!!」
――翔が姿を消してから半月後の事だった――
その夜
「ヒューのバカ・・・ なんで手紙なの? お話ししたいのに・・・聞きたい事があるのに・・・
ねえ、ヒューがいなくなったのは、わたし達が管理局に入ったからなの・・・?
・・・教えてよヒュー・・・・・・・・・・・・ 会いたいよぉ・・・」
ベッドの中、膝を抱えて泣いている少女の姿があった。
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