透、真剣勝負! 4
「早川を解放してやってよ。いたたまれない」
「コトが済んでからだ」
ルネの言葉に俺はため息をついて、カバンと携帯を素直に部屋の隅に置く。
そして、学ランを脱ぎ、Yシャツのボタンをふたつほどはずした。
さすがに、前のように油断はしてくれないだろう。
ふと周りを見ると、ニヤニヤした不良どもが、「ごゆっくり〜、仔猫ちゃん」などと言いながら店を去ろうとしていた。
「……も、もしかして、何か誤解してないか?!」
ちょっと焦る俺に、ルネは片眉を上げる。
「誤解? 何のことだ?」
「う……いや。俺の早とちり、だと思いたい」
それに、人は少ない方がありがたい。俺は雑念を振り払った。
ルネが唇の端を持ち上げるように笑って言った。
「ルールは簡単。再起不能になった方が負けだ」
「断る」
「…………」
まさかの拒絶にルネは不快そうに眉をひそめた。
「どちらかが気絶、もしくはギブアップしたら終わり。それならいい。そうじゃなきゃ帰る」
きっぱりと言う。
「オトモダチがどうなってもいいのか?」
ルネは早川をアゴで指した。
「早川だって目を覚ましてたら、帰れって言うだろうさ」
ルネが「チッ」と舌打ちする。
「手を抜きやがったら、ギブアップは聞かねぇ。死にたくなかったら、俺が満足するまで立ってんだな」
「了解。お手柔らかにな」
俺は軽くストレッチをして身体をほぐす。最後に首を回して礼をひとつ。
「……いつでもどうぞ」
指先で軽く手招きした。
[*prev][next#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!