透、風紀を守る! 7
金曜日の放課後。
ようやく風紀委員全員が顔を合わせることとなった。
「あれ、透君?」
職員室前でそう声をかけてきたのは、風紀委員の腕章をつけた女生徒。この学校の数少ない女生徒が、俺を知っているなんて……?!
「もしかして、美希?」
「むっ、ここでは“先輩”をつけるよーに!」
「……美希先輩」
雰囲気が変わっていて一瞬わからなかったけれど、よくよく見ると、数年前まで墨田道場に通っていた花笠美希先輩だった。
「ああ、そういえば花笠さんも合気道経験者でしたね……」
篠原先輩がにこっと笑う。
「私は高校受験の前にやめちゃいましたけど。透君はまだやってるの?」
「はい。馨のヤツ、寂しがってますよ。たまに遊びに来て下さい」
「わ、懐かしい。馨ちゃん、元気してるー?」
「そりゃあ異常なまでに。美希先輩は綺麗になっちゃってびっくりしたな。最初、誰か全然わからなかったし」
「うふ、透君ったらお世辞が上手になっちゃってもう!」
久しぶりの再会で話に花が咲いたところだったけれど、篠原先輩はもう1人の男子生徒を紹介してくれた。
「こちらは仲代君。僕と同じく2年で剣道部の主将です」
「どうも、仲代です。入学早々風紀委員なんて災難だな」
篠原先輩よりもずっと背が高く、典型的なスポーツマンタイプのその先輩は、精悍だけど優しそうな顔で笑った。
「何かあれば遠慮無く俺らに言えよ。まあ、篠原の話によれば、結構な腕前らしいけど……」
「透君、強いですよ。私、小学校の頃から一度も勝てたことないです」
仲代先輩の言葉に美希先輩も同意を示す。
「おー、そりゃ頼もしいな」
その会話を篠原先輩もニコニコと聞いている。まさかハチコーでこんなほのぼのできるとは。しかも、みんなそれなりに武道の経験者だ。
「お、みんな集まってるな」
職員室から木戸先生が出てくる。その後ろからもう一人、白髪交じりでしかめっ面をした先生も出てきた。
[*prev][next#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!