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透、風紀を守る! 1
 俺の怪我は見た目ほど酷い状態ではなく、身体は打撲、左腕は軽くヒビが入っただけで済んでいた。

 それでも、帰宅した俺の姿を見るなり乱心モードに突入しかけた江本さんは、鬱陶しいので蹴り飛ばして黙らせた。

 そして翌日、三角巾で腕を釣ってる俺を見た木戸先生も泡食って心配してくれたけれど、さすがに有りのまま話すわけにもいかず、道場で練習中にミスった、と伝えた。

「あまり無理するなよ、透。……と言いたいところなんだが、ちょっと相談があってな……」

 俺の表情を伺いながら、申し訳なさそうに切り出してくる木戸先生。

 嫌な予感がする。

「実はだな、風紀委員に欠員が出てな……。うちの学校で風紀委員なんかに立候補するヤツは、まぁほぼ皆無なわけよ」

「そうでしょうね」

「で、教師が推薦するのが慣例になってるんだが、補欠にお前が選ばれた」

「……はぁぁぁ?! なんで俺?」

「なんでだろうな……。いやな、唐草先生がお前をやたら気に入っててな。1年だからまだ早い、って俺は言ったんだけどよ……」

「だけど俺」

「すまん! 俺、唐草先生には頭が上がらないんだ」

 どうやら断ることは不可能のようだった。

 聞けば、風紀委員は委員長を含めて現在3人しかいないらしく、一人一人の負担がとんでもない状態になっているのだそうだ。

「……で、何やればいいんですか」

「お、おお。足達、受けてくれるか!」

「断っていいなら……」

「いやいやはは。そうだな、基本的には当番制で遅刻者のチェック。あとは、たま〜に行われる持ち物検査と学校周辺施設の見回りくらいだ」

 想像しただけで面倒になった。

「詳しい話は今日の放課後な。委員長を呼んでるから職員室に寄ってくれ」

 俺はため息をつきながら頷いた。

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