透、真剣勝負! 11 「……っ、てめェ!」 こちらに駆け寄ろうとした沢木は、背後から数人がかりで取り押さえられた。その姿をルネはニヤニヤと笑いながら見ていた……。 ――ゴインッ!! 「づあっ!」 呻いたのはルネ。 よそ見している隙に俺の頭突きが炸裂したのだ。 「ナメんじゃねぇよッ?!」 ルネがひるんだその隙に、俺の手を押さえている腕を巻き込んで床に引き倒し、腕を足で挟んで腕ひしぎ十字固めを炸裂させる。 突然の俺の言動に《シエル》のメンツも呆然としていた。 「にゃろ、まだ力残ってんじゃねぇか……」 そこまで言ったところで、ルネは言葉を途切れさせた。 「……ナニやってやがる、ルネ……」 この大騒ぎにようやく目を覚ましたらしい早川が、不機嫌そうな目で俺たちを見下ろしていた。 「……おはよ、早川」 「トール、その腕」 ルネの腕を抱え込む俺の左腕が変色しているのを見て、早川は顔色を変えた。 「んー……まぁ、腕は気にしなくていい」 そんな俺の言葉に、早川は眉をひそめる。 「ただ、こいつ押さえといて。俺はそろそろ家に帰りたい」 俺がそう言うと、早川はこくりと頷いて、ルネの腹の上にどっかりと座り込んだ。 はー、助かった。 [*prev][next#] [戻る] |