透、入学する! 7
「足達んちってどこらへん?」
帰り支度をし始めた俺に、井原が声をかけてくる。
「駅裏の方だよ。井原は?」
「俺は電車通学だから、駅まで一緒に帰ろうぜ!」
「OK〜」
井原の申し出に対し、笑顔を返す。
後はもう、普通に帰るだけ。
これで高校生活の初日は終わるはずだったのに。
――ドンっ。
「いてっ、す、スミマセ……」
「アア? どこに目をつけてんだ!」
「ヒィッ?!」
井原北斗君……。
よりにもよって何故、わざわざヤンキーにぶち当たるかね……。
うは、髪の毛真っ赤だよコイツ。
グレーのブレザーということは、東南第二高校の生徒だろう。
そいつは背も高く髪型もオシャレで、恐らく顔もそこそこイケメンだと思うけれど、眉間にしわを寄せ顔をゆがめているので正直とても残念な感じだ。
「ハチコーの一年か。ずいぶんナメた真似してくれんじゃねぇか」
どうやら機嫌が悪かったらしい赤髪野郎は、超至近距離から井原にガンをつける。
長身のそいつが160cmちょいしかないであろう井原に顔を寄せると、おじぎをするようなカタチになるので、端から見るとちょっぴり微笑ましい。
けれど、井原の顔色は真っ青でガチガチに固まっている。
ここは下手に出るしかないな。
「あの……っ」
「アア?!」
赤髪野郎が今度は俺の方にぐるりと顔を向ける。
「コイツがよそ見してたのは俺と話してたせいです。ゴメンナサイ……」
誠心誠意、深く頭を下げる。
「おもしれぇ、お前が友達の代わりに責任……ッ?!」
ねちっこく絡んできた赤髪は、俺が顔を上げると、途端に言葉を失った。
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