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透、真剣勝負! 7
 足下のおぼつかない俺に向けて、ルネがラッシュをかける。

 アッパーからフック、ローキック。ワンツーにエルボー……さっきと同じコンボ!

 俺は次の膝をかわし、叩き込まれたキックを内側から外側へと円を描くようにいなす。

 ――ッ、痛ってぇー!

 流しきれなかった衝撃が腕に響く。しかし、体制を崩したルネの背後を取った。

「おっらぁ!」

 ようやく手の届く高さになったルネの後ろ首に腕をかけ、ルネが前につんのめった勢いを利用してそのまま前に引き倒す。

 ルネはぐっと踏みとどまろうと重心を後ろにかけた。その瞬間の喉元に、逆の腕でラリアットじみた入身投げ!

「つッ!」

 床に転がるルネに対してすかさず袈裟固めに入ろうとするが。

 ……しまった。腕に力が入らない。

 ルネのキックをいなした時のダメージが思いの外キツかった。

 痛みに顔をしかめていると、ルネが肘で俺の頭をガチンと弾き、浮いた俺の首に足を引っかけて俺を引き倒した。

 床に倒れ込んだ時に後頭部をぶつけ、目の前に火花が散る。

 追い打ちをかけるように俺の頭を手のひらで押さえつけるルネの顔面に向けて拳を振り上げるが、リーチの差で軽く避けられた。

 ルネの顔に、勝利の笑みが浮かんだ。

「……まだまだァッ!」

 俺は、頭を押さえつけられていた手を残った力で掴んで引き寄せ、半ば蹴りかかるようにしてルネの首に三角締めを喰らわせた。

 三角締めとは、相手の片腕と首をまとめて両足で挟んで、頸動脈を締める技だ。

「くッ?! ……フッ……」

 ルネの表情が歪む。

 その頭を押さえつけ、締め上げる。おそらくこれがラストチャンス。

 ところが。

 ルネは首に俺をぶら下げたまま立ち上がった。

「ば、馬鹿力……」

 ぶら下がる俺の後頭部に膝蹴りを入れられて、俺はたまらずルネから転げ落ちた。

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