透、真剣勝負! 2 「結局、連休中にバレたんだ。つーか、妹の方から礼を言いたいって頼まれてさ。沢木には黙っててもらったのに、ごめん」 俺がそう言うと、沢木は困惑した表情になる。 「妹がどうかしたの?」 井原がすかさず聞いてきた。 「ちょっと恥ずかしい話なんだけど……」 かいつまんで話すと、その話を初めて知った井原は目を丸くしていた。 「足達の妹って、そんなに似てるんだ」 「……それは俺もちょっと気になってるけどな」 「見てみたい!」 興味津々な井原の言葉に、沢木が同意した。 期待でキラキラと輝く井原の目に負けた。俺、井原には結構甘いよな。 渋々、那由からのメールに添付されていた写真を見せた。 入学式の日に送られてきた、臙脂色のセーラー服を着た那由だ。 「うおお、マジで似てるな! トールちゃん、こっちのがしっくりくるぞ」 とりあえず、沢木は殴った。 「この制服、花椿かぁ。お嬢様学校だよな〜」 「猛勉強して特待生だよ」 「頭もいいのか。すごいな、足達の妹!」 井原は許す。 「でもよ、誤解が解けたってことは、早川に恨み買ってるってことにならねぇか?」 沢木がそう言う。 「それならそれで謝罪の言葉並べて、頭下げてくるよ……」 俺がそう言うと、沢木はため息をついて携帯を出した。そして、何か操作すると、俺の携帯がブルブル震えた。 「着信履歴でも鳴らせるようにしておくから、何かあればすぐ呼べよ」 「……サンキュ」 俺は沢木の心遣いに感謝した。 「足達。ほ、ほんとに行くのか?」 井原を安心させようと、俺はにっこりと笑った。 [*prev][next#] [戻る] |