透、真剣勝負! 1
残りの連休は道場で汗を流すうちに終わり、いつもの日々へと戻る。
午前中の授業はドタバタと過ぎて昼休み、井原と昼飯を食べていると俺の携帯が震えた。
「足達、どうしたの?」
「……いや、何でもない」
そう答えたものの、俺の眉間のシワを見て井原は困った顔をしていた。
そのメールは早川からで、放課後に話したいことがある、という内容だった。
「井原、今日の放課後は先に帰ってくれ。ちょっと寄るとこが出来た」
「わかった。どこか行くの?」
「……スカイブルーとかいう喫茶店」
俺の話を近くの席でパンを囓りながら耳にした沢木がむせた。
「す、スカイブルー? トールちゃん、正気か?!」
「何がだよ」
「そこ、《シエル》のたまり場だぞ?」
「……そうなのか」
早川は確かに《シエル》とかいうチームの一員だけど、これまでは俺とチームのヤツらを関わらせないようにしていたから、ちょっと違和感を感じた。
「元々の《シエル》は義家が気を許した人間だけで構成されてて、早川含めて数人しかいない集まりなんだけどよ。義家の潰したヤツラが次々と下について、いつの間にかメチャクチャでけぇチームになってんだ。アイツに取り入ろうと必死のヤツが、その店に入れ替わり立ち替わり顔出してるって言うぜ?」
沢木が嫌そうな顔でそう言う。
ははぁ、《シエル》ってそんなに大所帯なのか。確かに、あのルネってヤツの目を見るとゾクッとするというか、支配者のオーラはどことなく感じた。
「で、ほんとにスカイブルーに行くのか?」
「……ん、まぁな。早川にちょっと呼ばれたからな」
「アイツか……。一人で平気なのか?」
「かといって、沢木がついて来たら一波乱間違いないだろ。一人で行くよ」
「でも、アイツ……トールちゃんに、その、アレだろ?」
不安げな沢木に、そういえばまだ伝えてなかったと思い出す。
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