透、遭遇する! 11 「足達君は……。粛正中の義家に会ったの?」 副会長の声が生徒会室に静かに響き渡った。 「粛正? うーん、ま、一方的に早川が殴られてましたけど」 再び副会長の方へと向き直ると、彼は俺をマジマジと眺めてくる。 「怪我はないようだね」 「……はぁ、まぁ」 「アイツ、凶暴でしょ。タイマン大好きな喧嘩ジャンキーだから」 「困った人ですね」 「…………」 「な、何ですか?」 副会長は既に笑ってもいなかった。 「義家って、うちの会長とガチ勝負で沈まなかった唯一の男だよ。どうしてキミは無事なの?」 「……は?」 沢木の方を見やると、渋い顔をしている。 「義家なら、理由はどうであれ、早川を庇ったキミを見逃すわけがないよ」 さすがにアチラさんと長い付き合いというべきか。その通りでございます。 「足達君。何か格闘技やってるよね?」 以前、副会長を吹っ飛ばした身としては、言い逃れは出来ない。 「たしなみ程度に」 俺の返答を聞いた副会長は、しばし考え込んだ後、ニヤリと笑った。 ――嫌な予感。 「足達君、お願いがあるんだけれど」 「お断りします」 またもや即答。 「……まだ何も言ってないよ」 「そちらのチームに入れとか、もしくはあちらのチームの内情を探れとか、そういう類のコトですよね?」 副会長は笑顔のまま口をつぐんだ。 表情は変わらないけれど、きっと図星。 [*prev][next#] [戻る] |