透、遭遇する! 7 気がついたルネは、ぼんやりと周囲を見回している。 「……?」 「だ、大丈夫か、ルネ?」 早川と目が合ったルネは弾けるように飛び起きた。 「……ッ!」 急に起きあがってめまいでもしたのか、フラリとよろけて咳こんだ。咄嗟に俺が支えると、ルネはさらに驚愕の表情となって腕を振り払った。 「な、お前……ッ」 ルネが何か言おうとする前に、先制で俺が口を開いた。 「言っておきますけど! 俺、早川と友達ですから!」 「えっ!!」 驚いた声を出したのは、早川だ。ルネは訝しげに俺を見る。 「テメェ、《カブキ》に入ってんだろ?」 「は?」 ルネの言葉に、俺の方こそ首を傾げる。 「……ああ、沢木がいるチームだっけ。俺は関係ないけど」 「公園で早川とやりあってるの見たヤツいるんだぞ?」 「あー、あれは早川が悪い。ムカついたから殴った。それだけな。俺に負けたから俺の下についたとかそんなんじゃないし、そもそも勝ち負けとかそんなものもない。早川はアンタを裏切ったワケじゃないから」 俺の言葉に、ルネはフラリと壁にもたれかかり、ブツブツと呟いた。 「意味わかんねぇ……」 「俺には、アンタの方がわからないよ」 思わずため息をついた。 「……早川、お前は家に帰ったらちゃんと顔冷やせよ。きっと腫れるから。腫れが酷かったら、病院行けよ?」 「おう……」 「っと、もう遅いから俺は帰るわ。仲良くしろよ、お前ら。じゃあな」 畳みかけるようにそう言うと、俺は二人を残して路地裏を後にしたのだった。 [*prev][next#] [戻る] |