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透、入学する! 4
 チャイムが鳴ると、ガラの悪い不良たちも幾人か教室に入ってくる。入学式の有無を疑うほどに時間が経った頃、ようやくガラリと扉が開かれ、担任がやってきた。

 ……と思ったら、竜の刺繍が入ったスカジャン、カーキのカーゴパンツという出で立ちに、金髪を逆立て目つきのやたら鋭いチンピラが立っていた。

 そいつは教室を見渡すと、口元をゆがめて笑った。

「おー、半分くらいは来たかー。感心感心。点呼は入学式の後に取るからなー」


 ……やっぱり先生だった……。


 ヤンキー高校は先生も気合いが入ってるのか?

「俺は担任の木戸寅ノ介だ。よろしくな! 今年はやたら愛くるしいのが二人もいるなー。飢えた男子に気をつけろよ!」

 木戸センセイとやらは、俺と井原のあたりを見ながら笑った。余計なお世話だ!



 入学式が行われる体育館は混沌としていた。

 まず、半数以上が座っている。椅子にではなく、ヤンキー座りで輪になって。とても入学式には見えない。

「足達っ、足達! 女子がいるぞ!」

 後ろの井原が興奮したように肩を叩いてきた。確かに、井原が見ている奥の方には女子がちらほらと。

「情報処理科か建築科じゃない? あっちは多少女子にも需要あるから」

 俺が冷静に答えると、井原はシュンとうなだれた。

「ちょっと俺、後悔中」

「俺らの青春に、ピンク色は無縁だよ井原君……」

 そんな会話を聞きつけた木戸先生が、ワハハと笑う。

「何、お前ら女の子に興味あんの。男ならより取り見取りなのになー」

「……先生、今、軽い殺意を覚えましたけど」

 ジトッと睨むと、木戸先生は肩をすくめつつ、まだ身体を揺らして笑いをこらえている。

「ワリィ。ごくフツーなんだな、お前ら。異色だったからよ」

 先生こそ、チンピラっぽい風体のわりにやたらフレンドリーなんですね。俺はそんなことを思った。

 もちろん、わざわざそんなケンカ売るようなことは言わないけれどな!

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