透、キレる! 12
早川は、例の公園へ向かっていた。
この公園は住宅地にあるわりにメチャクチャ広くて、木の生い茂ったあたりは人があまり来ないのだ。
俺はこの呼び出しの意図を考えていた。
やっぱり、俺と那由が別人だって気が付いたのかな。おちょくられたと思って、復讐しに来たとか?
こいつは学校の生徒じゃないし、反撃しても大丈夫かなぁ?
そんなことを考えていたら、早川がクルリとこっちを向いた。
「あのよっ、……そのっ」
……早川の顔は真っ赤だった。
おろ? バレたわけではないのか?
「あれからずっと考えたんだけど……俺、やっぱ忘れられないっつーか……」
う、嫌な予感。
「自分でも初めて知ったけどっ、お前なら男でも平気みたいだ! お、俺と、つっ、つき合ってくれッ!!」
…………。
俺、今、殴るの我慢した。エライ?
早川は腰からきっちり45度曲げて俺の返事を待っている。それでも俺より背が高いのが腹立つわー。
神妙な顔で「つっ、つきあって」とか言われてもな。別にツンツンとつつき合うワケじゃないよな。やっぱ、恋愛的な意味だろうな。
「ごめんなさい、俺、そういう趣味はないんで」
さっくり振ってやった。
「いやっ、覚えると男もイイってゆーし?」
「何を覚えさせる気だ、オマエ」
「お、俺も頑張るからさッ!」
「頑張んな! 次に何か喋ったら、そろそろ殴りそうだぞ俺」
イラッとして睨みつけると、早川の目が潤んだ。
泣くのかと思ったら、目の色が危ねぇ!
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