透、キレる! 4
校舎裏に俺がたどり着くと、不良が1人増えていた。
……いや、よく見るとその1人は、沢木で。
沢木が井原をかばうように立っていた。
「1年坊のくせに上級生に刃向かうとは、いい度胸だな」
「うっせ。下級生からカツアゲとか、しみったれたコトしてんじゃねーヨ?」
沢木がヘラッと笑う。
上級生の額にピキッと青筋が走った。
「テメェは正義の味方気取りかっつのッ!」
その言葉を皮切りに、1人が殴りかかる。沢木はそれをすれすれで避けるものの、背後からもう1人が襲いかかった。
「沢木ッ、後ろ!」
俺が咄嗟にかけた声は間に合わず、振り向いた沢木のこめかみにクリーンヒットが叩き込まれた。沢木はふらついて、ガクリと片膝をつく。
「へっ、ざまァ」
男の指にはごつごつしたリングがいくつもはまっており、それが血に染まっていた。
「さ、沢木!」
「――来ンじゃねーよッ?! お前もほら!」
頭を押さえたままの沢木が、井原の身体を押して逃がそうとするのが見えた。
その瞬間、沢木のボディに蹴りがめり込んだ。
「ッ!」
「カッコつけんなっつってんだろうがァ!!」
「《カブキ》の黒豹ってのも、大したことないじゃん……ナァ?」
下卑た三人の笑い声に、俺は……
キレた。
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