透、入学する! 15
「トールちゃんはちょっと黙ってて」
沢木が決まり悪そうに言うと、赤髪はまた凶悪な表情で沢木を睨む。
「……テメェ、こいつの何だよ?」
「ア? それが何かテメェに関係あんのかよ?!」
沢木、できればそこはスルーしてくれ……。
俺もスルーしたいよ。お前が俺の何だってんだよ。
「忠告はしたよ。じゃあね」
俺はそっけなく一声かけ、彼らの脇をすり抜けて校門をくぐった。
「……ちょっ、待て!」
「早川、テメェ逃げる気か?!」
「ウッセェ、元々お前に用はねえっつの!」
赤髪は沢木の手を振り払って、俺の後ろを追ってきた。その後ろをさらに沢木が追いかけてくる。
とりあえず、校門から追っ払う作戦は成功した。
「なぁ、トール……だっけ?」
赤髪がおずおずと声をかけてくる。俺はため息をひとつついて振り返る。
「あなたは?」
「おっ、おう。俺は、早川遼平、デス……」
赤髪――早川は顔を赤く染めて身体をこわばらせる。
「……うわキモッ! 何オマエ、トールちゃんにホの字なの?」
「っ、テメっ喧嘩売ってんのか! ちゃうわ、俺はただちょっと確認に……」
「うるさいなぁ……」
またもや喧嘩が勃発しそうだったので、俺は駅前の公園まで移動することを提案した。二人は渋々頷く。
公園までの短い距離ではあったけれど、左側に不機嫌そうな沢木、右側に俺の頭上を飛び越して沢木を睨みつける早川。
並んで歩くと、一般市民の皆様が目を逸らし息をひそめるのがわかった。
あー、ご町内の皆様方、大変ご迷惑をおかけしております。
殺気バリバリの長身2人に挟まれて、俺は居心地が悪いったら。
気分はリトルグレイだ。
お前ら、俺に身長10cmずつ分け与えた上で、切腹しろ!
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