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透、入学する! 14
 本日の授業が全て終わり、井原と二人で玄関で靴を履き替えていると。

「げっ!」

 井原が奇妙な声を出した。

「どーした」

 俺の問いに井原は校門の方を無言で指さす。

「……げっ!」

 それを認識した瞬間、俺も井原と全く反応しか出来なかった。

 校門には昨日見たばかりの――赤髪の男が仁王立ちしていたのだ。

「どっ、どうしよう、足達」

「……裏口から帰ろうか」

「そ、そうだな」

 二人でウンウン頷いて、外靴を手にして廊下を移動しようとした時。

「《シエル》の早川ッ!? 何見てんだゴルァ!」

 どこかで聞いた声が響き渡った。

 靴箱の影からチラッと覗き見ると、クラスメイトの沢木が赤髪の男に向かって思いっきりガンつけているところだった。

「あちゃー」

 俺はおでこをぺちっと手のひらで叩くと、外靴を足下に置いた。

「……ごめん、井原。悪いけど一人で裏口から帰って」

「えっ、足達は?」

「あの赤いヤツが待ってるの、多分俺だから。あんな目立つところで喧嘩なんかしたら、沢木が停学になるかもしれないだろ。声だけでもかけてくるよ」

 そう言うと、井原の顔がゆがむ。

「昨日の感じからして、俺の足なら逃げられる。大丈夫だから!」

 俺は笑顔で自分のフトモモを叩くと、井原の背中を押した。

 井原が何度も後ろを振り返りながらも廊下の角を曲がったのを見届けると、俺は意を決して玄関を出る。

 校門の二人は既に胸ぐらのつかみ合いになっていた。

「沢木ー、ここで喧嘩はやめた方がいいんじゃないの?」

 俺が声をかけると、二人は同時にこっちを見る。沢木は口をとがらせ、赤髪はパアッと表情が明るくなった。

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