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透、入学する! 11
 翌日の授業で、俺たちは初めて作業着に袖を通した。

 いわゆる「ツナギ」ってやつだ。

 うす緑色で、左胸に校章が、二の腕のところに姓が縫い込まれている。

 悲しいことに、俺らチビ組が着るとダボダボになってしまい、カッコがつかない。仕方なく裾を折り返す。

 余った布が多すぎて、何だか子供向けの服みたいになってしまう。

「やっぱダセーの。……でも、ちょっとプロみたいでカンドーかも?」

 井原がそんなことを言いながら、屈託なく笑った。ああ、やっぱりコイツ、何だか子犬みたいでカワイイなぁ。

 周囲を見回すと、意外にも不良連中も真面目に着替えていた。

「トールちゃん、何見てんの。もしかして俺に見とれちゃった?」

 俺の視線に気が付いた不確定名・不良【その1】改め、沢木がヘラッと笑う。

 こいつは黒髪をソフトリーゼントで決めてるのだが、ま、いい感じに似合っている。

「見とれるとかアホか。タッパある方がツナギは似合うなぁと思っただけだ。憐れむならば、身長わけてちょーだい。せめて10cm!」

 両手をお椀のようにして差し出す俺を、井原はちょっとハラハラした顔で見守る。む、さすがにアホ発言はまずったか。

「わはは、トールちゃんはちっこい方がカワイイって!」

「カワイイゆーな」

「褒め言葉、褒め言葉」

 沢木が近づいてきて、俺の頭を上から目線でポフポフと叩いた。

 ふと横を見ると、井原は息を潜めて空気感を必死に演出している。

 こいつ、3年間それで通す気か?

「トールちゃんの髪の毛、柔らかくて気持ちイー」

 俺が嫌がるのも気にせず、人の髪の毛をくしゃくしゃにかき回す沢木。

「沢木……」

「ん? なに、トールちゃん」

「あと3つ数えるうちにやめないと、そのカッコイイ髪型を爆発させてやる」

 笑顔でそう言うと、沢木はササッと手を後ろに引っ込めた。

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あきゅろす。
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