透、入学する! 10
「マジか。俺んとこの生徒会長は、応援団とかが着てるような長ランの不良だったよ」
『うそー!』
二人で大笑いした。やはり双子というか、顔だけじゃなくて、俺たちの笑いのツボは似ている。
……はっ。
そうだ……俺は双子なのだ……。
「そういえば那由。もしかして、なんだけれど。……赤い髪の不良って見たことある?」
『赤い、髪?』
まさか、とは思うけれど。
「なきゃないでいいんだけれど」
『あるよ?』
「あっ、あるのかっ!」
赤髪の「女の子だよね?」発言の原因はここにあったのかっっ!
『1日に友達と映画を見に行ったんだけど、帰り道で不良さんたちに囲まれちゃったんだ。その時に助けてくれたの。赤い髪の人が』
「マジか……」
妹の恩人だったらしい。
『その人がどうかしたの?』
「いや……ワケわかんないこと言って絡んできたから、ぶん殴っちまって……」
那由は、「かわいそう」と言いながら苦笑した。
『お兄ちゃん、空手とか習ってたのに、ダメだよ〜?』
「うっ……反省してる……」
……でも。
ってことは、あの赤髪……那由にちょっかい出そうとしてたってことか?
…………。
ダメダメダメダメ、お兄さんは許しませんよ!?
「那由、そいつとその後に会った?」
『ううん、その時に会っただけだよ。連絡先も名前も教えてもらえなかった』
「それじゃ、とばっちり喰らわないように、見かけたら逃げてくれ」
『悪い人じゃないのに……。でも、心配してくれてありがと、お兄ちゃん』
……ちょっと良心は痛むがこれでいいのだ!
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