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消える夢を見た泣かない子供 ガイとルーク



寝顔は昔と変わらないとため息をつく。

この数週間の間に本当に色々な事が起こったものだ。
レプリカという事実、スコアを覆す動き、変わるという決意。
この子供は笑う時全てを知ったような悲しい笑いをするようになった。
純粋に笑うあの笑い顔だけは変わらずにいて欲しかったとなと思う。
剣を笑顔の下にかくしていたあの時の自分には腹の立つ笑い顔だったが

布団をかけなおしてやる。
こういう世話をやるのはもう無意識となっている事に声を殺して笑う。
そろそろ寝ようとルークの隣のベットに入ると子供がなにかに怯え助けを求めるかのように手をのばした。
悪夢を見ているのかとベットから起きてその手を握った。
身をねじる。
起こしてしまったかと子供の顔を見ると子供は目を開きガイか?と呟いた。

「どうした?恐い事でもおきたのか?」


どうやら子供はまだ寝ぼけているようだ。
いつもならそうであっても頑として違うというのに今回は少し間をあけた後うんと素直に頷く。
その仕種をみてこの子供は見た目はどうあれまだ七歳なのだと思わされる。
ん?と内容を話すように促すとすこし間をあけてから話しはじめた。


「みんながいて、みんなに話しかけようとしたら、俺の声が届かなくて、」


だいぶ怖かったのかとぎれとぎれに話す。
大丈夫だというように子供の背中をぽんぽんとさすってやる。
その手の暖かさにおちついたのかまた話し始めた。


「…みんな聞こえないのかなって思って手を延ばしたら、俺の手が消えかかってて、気がついたらなんか全部《俺》が亡くなって…」


感覚を思い出したのか話しが途切れる。


「いいかルーク、それは夢だ。最近お前少し疲れてるからそんな夢見たんだよ」


言い聞かせるかのようにこの子供に呟いた。
もしかしたらこの子供にではなく自分に呟いたのかもしれない。
そう言わないとこの子供が消えてしまいそうに見えたから
もう一度寝ろと言って子供の目をふさぐ
ふさいでからこれほど怯えていたのに涙が零れてこないことに驚いた。

いつの間にかこの子供は泣かなくなったのか。

悪夢を見た日はいつも
正直に泣いて嬉しい時は正直に笑った子供だったのに。
記憶がなくなった当初…いや子供が生まれた当初寝るときにしてやったように子守唄を歌う。
しばらくそうしていると子供は静かに眠りはじめた。
もう目をふさいでいた手をはなす。



「…おやすみルーク、いい夢を」


子供が寝たのを確認した後今度こそ寝ようと隣のベットにはいる。
そしてしばらく子供が発した《俺》がなくなると言う言葉が耳から離れなかった。






(そうそれはまるで未来を示唆しているようで)


あきゅろす。
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