50000hit企画
キスして(ヘタレ美形×男前平凡)
半年前、俺はいきなり告られた。
「葛西 東(かさい あずま)くん、ずっと好きでした。俺と付き合って下さい…!」
相手は可愛い女の子…
では無く。俺と同じ三年生で、学校一イケメンと謳われている男、三好 京介(みよし きょうすけ)だった。
俺はと言えば、そこら辺に沢山居そうな普通の男子。
…何これ?何の嫌がらせ?バツゲーム?
「俺、こういう冗談嫌いなんだけど」
三好にそう告げて、ふと顔を見たらギョッとした。
なんでって、三好はボロボロ涙を流していたから。
泣きながら三好は、俺をどうして好きになったかとか、なかなか告白が出来なくていつも遠くから見つめてたんだとか、拙い言葉で必死に伝えてきた。
どうやら、入学式の時に体育館に行く道が分からなくて泣きそうになっている三好を助けたらしい。
…全くもって覚えていない。
それから俺が気になり初め、陰から見たり色々とリサーチするうちに好きになって、告白が出来ないまま三年生になってしまった、と。
俺は正直「ないわー…」って思ったんだけど…なんか、情けない泣き顔を見てたらちょっと可哀想になって来て、捨て犬みたいで放っとけないというか…。
俺はうっかり「別に付き合っても良いよ」って言ってしまった。
そして半年が経ち…
今では「三好」じゃなく、「京介」と名前で呼んでる。
俺を物凄く大切にしてくれる京介に段々、愛着が沸いてきて。俺も京介の事を好きになった。
あいつは本当、うざいくらいに俺に尽くしてきた。
恥ずかしくなるくらい甘やかされて、なんかもう俺ダメ人間になりそう。
そこまでしなくても、って言ったら京介は頬を赤らめて「気にしないで、俺が好きでやってることだから」って微笑むものだから…俺もほだされてしまう。
完全に毒された感じ。
でも最近、ちょっとモヤモヤしてる事がある。
俺たち付き合って半年経つけど、未だキス止まり。
しかも、ちゅって可愛いやつ。
付き合い立ての中学生みたいなレベルの触れ合うだけのキス。
普通の恋人ってこんな感じなのか?
あいにく俺は彼女なんて一度しか出来たことが無くて、それもたった2ヶ月で自然消滅したからよく分からない。
完全なる童貞だ。
周りに色々訊いたら、なんと…みんな3、4ヶ月目くらいにはセックスしてるとか言うし。
おい、俺らまだベロチューもしてねえよ。
ったく、あいつから告白してきたんだから、もうちょい積極的になってくれれば良いのに。
可愛く尻尾振って誘ってくんないかな。
でもまあ…俺も男だし。待ってるだけじゃ文句言えねえよな。
…よし、京介が来ないなら俺から行ってやる。
いつものように京介の部屋で宿題を教わっている俺は、隣に座る京介の顔をじっと見つめた。
因みに俺らはあんまり身長変わんない。
京介が178くらいで俺が175…とかかな。
とにかく見つめていたら、京介は微かに頬に朱を差してふわりと綺麗な笑みを浮かべた。
俺はすかさず京介の唇に自分のそれを重ねた。京介のやつ、目を見開いて驚いている。
「んっ…あ、東?」
焦ってる所、もう一回キスをして。唇を舐めてやったら京介はビクリと肩を震わせた。
やばい…なんか燃えてきた。
「京介、お口開けて」
「う、あ……東いきなりどしたの?」
「俺としたくないの?エロいキス」
「しっ…したい!したいです!」
可愛いやつめ。
さらさらの茶髪を撫でてやると京介はフニャリと頬を緩ませる。
もっ回キスしたら、遠慮がちに京介の柔らかい舌が侵入してきたからちょっと甘噛みしてやってから舌を絡ませた。
それから、ずーっとひたすらチューして…何分経ったか分かんないけど、その内舌が疲れてきたから離れた。
「ん…あず…大好き…」
あず、ってのは京介が甘える時に俺を呼ぶあだ名。
潤んだ瞳でウットリと見詰められてキュンとしてしまった。
「あずー…もっ回チューしたい…」
「京介。なんで、今まであんな軽いキスしかしてくれなかった?」
「だ、だって…あずが可愛くて、凄く大切で。俺、あずの優しさに付け込んで告白のOK貰ったんだし…。無理に迫って、嫌がられたら…」
声が段々小さくなり、じわあ、と涙を滲ませた京介。
こいつはもう…どこまでアホなんだ。
でも俺も悪いか。今まで好きとか伝えたことなかったな。
「京介、好きだ」
「あず……」
「好きだし、ずっとベロチューしたかった。つかお前とならキス以上のことしても良いくらい好きだよ」
「ほ、本当に?俺ずっと我慢してた…毎日あずのエロい姿想像して一人で寂しく、1日5回はヌイてた」
「いや、それやりすぎだろ。そんな欲求不満なら俺に言えよな」
想像以上に、俺以上に京介は欲情していたらしいことがわかって少しホッとした。
「あず…!俺頑張るから!」
「うん」
「痛くないようにするからね!ちゃんと時間かけてあずのお尻可愛がってあげ、」
「待て。え?なに?俺が掘られる側なわけ?」
「い、嫌なの?俺抜くときいつも、そーゆう想像してたんだけど。可愛いあずを」
「えー…俺はお前が下の想像してた」
「あ、あずも俺のこと想像してオナってんの?!」
「おい…鼻血拭けよ」
えー…
俺が掘られるとか予想外だった。
痛いんかな…
でも、こいつに痛い思いさせたくないかも。
…しょうがない。
「…優しくしろよ」
「あず!良いの?俺が挿れても?」
「痛くしたらぶん殴る」
「優しくする!超優しくするよ、あず大好き!」
がばりと抱き着いてきたあいつを受け止めて柔らかなベッドに倒れ込み、俺は腹をくくる事にして目を閉じた。
結局、俺も恋人に甘いみたいだ。
End
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