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アーユーマイン?
32

いつものように授業を受け、迎えた放課後。
やけに上機嫌な様子の瑞季が声を掛けてきた。こいつ絶対ロクなこと考えてない、直感で思った。

「奏太ぁーこの後ヒマ?」           
「え?うん。暇っちゃ暇だけど」
「AV鑑賞しない?」
「え!」
「兄貴の部屋からこっそり借りてきたんだよね」

え、AV!中高生男子が大好きなあのAVですか!
この魅力的なお誘いを断る高校男子(童貞)なんているのだろうか、いや居ないだろう。俺だって例外ではない。健康的な男の子なのだ。

「する」
「よっしゃ!あ、咲人も誘おうぜ!」
「え゛」

咲人、という名前を聞き、思わず変な声を出してしまった。
あー、やっぱそうなるよね。あいつも誘うよね。何だろう、何か複雑というかちょっと嫌だ。
てゆうか…

「瑞季…、咲人ってさ、AVとか興味あんのかな」
「それな。咲人ってあんまりそういう話しないじゃん。俺がしてても全然乗ってこないし」

そうなのだ。男子高校生といえば、どのAV女優が可愛いだとか誰のグラビアがエロいだとか、隣のクラスの○○ちゃんの胸がでかいとかヤりたいとか、そういう話も日常茶飯事のはずなのだが…咲人の口からその類いの話は聞いたことがない。
瑞季がそういった話題を出してるときにも会話に入って来ないし、寧ろ冷ややかな目で見ている気が…
なので正直、咲人がAVを見てる場面なんて想像できない。

まあ、俺には散々セクハラ発言してくるんだけどね。おかしいよねこれ。

ん?待てよ、あいつ俺の事が好きらしいけど、いわゆるゲイ?ホモ?ってやつなのか?

…なんて、色々考えていたら。瑞季がまた何か悪巧みをしているようで、笑みを深くした。

「奏太…あのさ、咲人にAV見るってギリギリまで内緒にしようぜ?」
「どういうこと?」
「DVD見る、とだけ言って、いきなりAV見せたらどういう反応するのか気にならない?」
「…別に、気にならな、」
「俺は気になる!そうしよう!な、咲人に言うなよ!」
「…はーい」

相変わらず強引な瑞季に呆れつつ、俺もちょっと楽しみだったり。

「といってもさ、ぶっちゃけ咲人ってAV見る必要無さそうだよな。だってさ、あの顔とスタイルだろ?ヤる相手に困らなさそうだし…ってか、絶対可愛い子とヤりまくりだよな。羨ましい。奏太もそう思わねえ?」
「そう、なのかな…」

確かに、あれだけの美形だからそういうことをする相手ならいくらでも寄ってくるだろう。寧ろ金を積んででも咲人に抱かれたいって人だって腐るほど居るだろうな。

セフレ…とかは居ないだろう、多分。
…待てよ、でもあいつ、よく女子からメアド渡されたりしてるよな。

…何だろう、なんか分からないけど、ちょっとモヤモヤ?
これは、あれだ、あれ。童貞の醜い嫉妬だ。
決して「咲人の奴、あれだけ俺のこと好きって言っといて誰かとヤってるとか無いよな?」なんて、考えてない!無い!

俺が勝手に色々想像して混乱している中、トイレに行っていた咲人がタイミング良く(?)教室に戻ってきた。

「何2人でこそこそ話してるのー?」

ちょっと拗ねた口調で言うと、俺に背後から抱き付いてくる。スキンシップ過多すぎてウザい。

そんな咲人に早速、瑞季が切り出した。

「咲人、この後DVD鑑賞会しない?」
「…奏太は?」
「勿論誘ったよ。見るってさ」
「じゃあ俺も」
「咲人の家行って良い?お前の家のテレビでかいじゃん」
「良いよ」

おお、サクサクと話が進んで行く。

そして俺たち3人は咲人が一人暮らしをしているマンションへと向かった。

明らかに高級だとわかるデザイナーズマンションの一室が咲人の部屋。何度か訪れたことがあるが相変わらず広い、そして片付いている…というか生活感が無い。

ソファーに腰掛け、咲人が隣に座る。近い。ぴったりくっ付きすぎだろお前。
瑞季はテレビの前に行きDVDをセッティング。

さあ、始まるぞ。
何だろう、凄く緊張してきた。

瑞季が咲人の隣に座り、リモコンの再生ボタンを押した。

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