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アーユーマイン?
31

咲人と仲直り(?)をしてから数日が経った、ある日の昼休み。いつものように教室で、俺と咲人と瑞季で昼食を食べているとき不意に瑞季が口を開いた。

「なー、奏太ぁ」
「ん?」
「そーいえばさ、こないだの女子ってなんだったの?」
「!!!」

瑞季!!咲人の前でそれを言うな!!こいつの前では禁句だ!!

正直俺も最近、ずっとその事で悩んではいたのだ。俺に初めての告白してくれた明日香ちゃんに、なんて返事をしようかと。めちゃくちゃ悩んでいた。

…咲人が俺をガン見しているのがわかる。視線が、痛い。

くそ、瑞季のやつ…

「あー…えと、こないだ告られて」
「はあ!?お前が!?まじで?何で?てかもっと早く言えよ!で、何?付き合うの?」
「あ…いやー…すげえ考えたんだけどさ、断ろうかな…って」

そう、俺はさんざん悩んだ末、彼女の告白をお断りしよう…と決断をした。

ああ…咲人の顔が見れない。
俺は怖くて顔が上げられず、ずっと自分の弁当箱に視線を落としたまま。

「は!?なんだよそれ!!あの子可愛かったじゃんもったいねえ!」
「んー…だけどさ、やっぱ好きでもないのに付き合うのは…それに」
「それに?なんだよ!?」

それに、咲人があんなに真剣に俺に告白してくれたのに、こんな中途半端な気持ち(可愛いからいいかなーとりあえず付き合って童貞捨てたいなー的な)で明日香ちゃんと付き合うのは…なんというか、咲人にも明日香ちゃんにも失礼な気がしたんだ。
だからといって、俺は咲人と付き合う気なんて微塵もないけれど。

「いや…なんでもない」
「言いかけて止めんなよ気になんじゃんー!あ、ねえその子何組?紹介してよ!奏太がイケんなら俺だって平気だろ!」
「お前失礼だな!」
「…奏太」

俺と瑞季がギャーギャー騒いでいる時、ようやく咲人が口を開いた。俺と瑞季はピタリと口を閉じ恐る恐る咲人に視線を向ける。

「ありがと、奏太」

教室内の空気が変わり、ぶわりと咲人の周りに華が咲く、ような錯覚がするくらいに、その笑顔は美しかった。
…じょ、女子が教室に居なくて良かった。きっとこれを目の当たりにしたら卒倒していただろう。咲人の美貌に慣れている俺と瑞季でさえ見とれてしまうほど、本当に綺麗だった。

はっと我に返る。

「は?別に咲人の為じゃねーよ。俺が、俺の為にちゃんと考えた結果だ」
「うん」
「え!?何?咲人もあの女子のこと好きとか!?修羅場?三角関係!?俺そうゆうの大好き!詳しく!」
「ちょっと瑞季うるさい…」

うるさいけど、瑞季のおかげで変な空気にならなくて済んだ…かもしれない。

「ねえ!!どういうこと!?俺も入れて!!」

…やっぱちょっとうるさすぎる。



まあ、何だかんだあって放課後。
連れていけとうるさくすがり付いてくる咲人と瑞季を振りきって俺は明日香ちゃんと学校の裏庭に来ていた。

「明日香ちゃん、あの、告白の返事なんだけど…ごめん。付き合えない。ほんとにごめんね」
「そっか…ううん、返事くれてありがとう」
「俺なんかに告白してくれてありがとう…う、嬉しかったよ」
「ふふ、どういたしまして…?あー、返事もらえてスッキリした!」

あー、まじで良い子だな明日香ちゃん。やっぱ断らない方が良かったかな?なんて少し惜しく思った。

その後少し談笑して、これからも普通にお友達として仲良くしてくれたら嬉しいな、と笑う明日香ちゃんに俺は頷いた。

明日香ちゃんと別れた後教室に行くと、咲人が俺の席で待っていた。告白された日のことを思い出し、少しドキリとした。

「咲人…」
「おかえり、奏太」

ひらひらと手を振る咲人。良かった、怒ってはいないっぽい…

「てっきり、盗み聞きでもしてるのかと思った」
「んー…迷ったんだけど、奏太がダメって言ったし…バレて嫌われたら嫌だから。あ、でも…見てたよ」
「え?…ああ」

そういえば、うちの教室から裏庭…丸見えだ…

「もしキスでもしてたら大声だして邪魔してた。二人で楽しそうに笑ってる時も、今すぐ裏庭に降りて邪魔してやりたかったけど我慢したよ」
「ふーん…」
「偉いでしょ、褒めて」

上目使いで甘えた声を出す咲人、いつもならバーカとでも言って頭を殴ってやるけど…今日はちょっと、機嫌が良い俺。

「はいはい。良い子だねー」

咲人のセットされた髪をぐしゃぐしゃに撫でてやった。

あ、固まってる。まさか俺が褒めてくれると思ってなかったんだろな。

「奏太あー!」
「うわ!」

フリーズしたあとガバリと腰に抱きついてきた咲人を引き剥がすのは大変だった。

まあ…たまにはこういうのも良いかな…




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あきゅろす。
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