season
Happy New Year!(2010)お相手;綱吉
「咲穂、結婚しよう」
『………は?』
いきなり何を言い出すんだこの人は。
仮にも歴代最強と言われる現ボンゴレ10代目ともあろうお人が。
「咲穂…俺じゃ、ダメ?」
『う…っ』
そんな捨てられた仔犬の様な目で見ないで欲しい。
どうにも私はこの目に弱いらしい。
『い、嫌では、ないかな…と』
「咲穂っ!」
『ぎゃわっ!』
おおっと、変な声を出してしまったよ。
いきなりボスことツナさんは、私をギュッと抱き締めてきた。
『つ、ツナさん…!』
「咲穂、幸せにするよ」
ツナさんの顔を見る為に、顔を上げると近づいてくる彼の顔。
キスされるのか…
別に、嫌ではない。…ん、それってもしかして私はツナさんのこと…、好き…?
「俺意外のこと、考えないで…咲穂」
もうキスまで数センチというところで、囁くようにそう言われ、心臓が高鳴る。
「好き…愛してるよ、咲穂」
『つ、ツナさ…』
そして私はゆっくりと目を閉じた。
……………
『…………』
いつまで経っても何も起こらず、目を開けてみると。
『………夢、か』
まさかの夢オチ。
ありえない。
しかも新年早々。
それにこれって…
――――――
――――
――…
『っていう夢を見たんです。しかも初夢でですよ。ありえないですよね!』
「………」
そうこれが私の初夢。
初夢なら、こうドーンという凄い夢を見たかったのに。
『って聞いてますか、ツナさん!』
「…聞いてる。それで?俺にどうしろと…?
新年早々、そんなことの為に叩き起こされた俺の身にも…」
『そんなことじゃないです…!私には、大事な事なんですよ!』
全くツナさんったら夢がないんだから。
まったく興味がないような顔をする彼。
「…はぁ。俺、昨日寝るの遅かったんだよね。だから…」
『責任とって下さい!』
「…人の話聞いてないし…それで俺にどうして欲しいの?」
ツナさんは呆れた顔で見てくるがそんなこと気にしない。
『お年玉ください!そして今日は休みをください』
「………さっきの話から一体どうなったらそうなるんだ…」
さっきまでの不機嫌な咲穂はどこにいったのか。
今は笑顔で両手を差し出し、お年玉をねだる彼女は可愛くて。
つい見入ってしまった。
あ、良いこと思いついた。
「咲穂」
『はい!』
目を輝かせて見つめてくる咲穂。
そんな彼女を見た綱吉は顔を赤く染めそうになるが、あくまでポーカーフェイスを演じる。
「ごめんね、咲穂。俺は買い物はカードだから、現金は今すぐには無理なんだ」
『…そうですか』
そう言うと残念そうな顔をする咲穂。
「お金は無理だけど、その代わりにこれをあげる」
そう言って、机の引き出しからあるものを取りだし、咲穂のほうに投げた。
『わっ…!』
咲穂は投げられた物を慌てて受け取る。
『…?』
「開けてごらん?俺からのお年玉」
にこにこしながら見つめられるとなんだか恥ずかしくなる。
そして綺麗に包装されている袋を取ると、指輪を入れるケースが出てきた。
「開けてみて?」
『…指輪?』
そのケースの中には、綺麗なシルバーのリングが入っていた。
『…?なんで私の名前とツナさんの名前が彫られてるんですか?』
「咲穂、結婚しよう」
『!』
……正夢になった。
Happy new year!
2010.1.4. ヒロ
[戻る]
無料HPエムペ!