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下剋上 †鏡月様リク(日吉甘微裏夢)
『遅いなぁ若。まぁメールしたからいつかみるでしょ』

そぅ言いながら名前ははぁっと息を吐く。

白い息はすぅっと空に消えていく。





テニスコート

「これで今日の練習を終わる」

「「「お疲れ様でした」」」

ようやく練習が終わり日吉は部室へと足早に戻る。

そして何気なく携帯を開く。

「新着メール?名前さんから?」

不思議に思いながらも日吉はメールを開く。

From 名字名前

Subject 部活お疲れさま

今日私の家にお泊りの約束したでしょ?折角だから一緒帰ろ?校門で待ってるね


読み終わるなり日吉は手早く着替え始める。

「あれ?日吉もう帰るの?」

「あぁ。じゃあな」

鳳の声にも上の空で、急いで部室を後にし、校門へと向かう。

『まだかなー若』

空を仰ぎながら呟く。

すると聞き慣れた足音が聞こえてくる。

『お疲れ、若』

「お疲れ、じゃないでしょう。何時間ここにいたんですか?」

『えっと、面接練習とか終わったのが5時位だから、2時間位?』

日吉は小さくため息をつく。

「寒いんですから教室にいたら良いでしょう?」

『だってもしメール見てなくてすれ違いになったら嫌だし』

微笑みながら言う名前に日吉は再びため息をつく。

「(どうしてこの人はいつもこうなんだ)」

『わーかーしー、眉間にシワ、出来てるよ?』

「(誰のせいで出来てると思ってんですか)」

『なーんかいいたそうな顔してるね?なぁに?』

「別に何でもないですよ。寒いですし早く帰りましょう」

『うん』

すっかり暗くなった帰り道を二人で歩く。

『手つないでいい?』

「俺の手、暖かくなぃですよ?」

『いーの。私が繋ぎたいだけだから』

「好きにして下さい」

『うん』

二人は手を繋ぎ名前の家と向かう。

『ただいまぁ』

「…お邪魔します」

『別にそんなかしこまらなくてもいいよ?どーせ旅行に行って親いないんだし』

「そういう訳にはいかないでしょう」

『ちょっと待っててね。今お茶出すから』

そういって名前はお茶の準備をする。

日吉はというと名前の部屋を見回している。

『はい。って何でそんなキョロキョロしてるの?』

「意外と片付いてるなと思いまして」

『意外とって失礼じゃない?』

「思ったままを言っただけです」

『…まぁいいか』

そう言い日吉の隣にちょこんと座る。

「…どうして一緒に帰ろうと思ったんですか?」

『え、なんで?』

「跡部さん達が引退して俺が部長になってから、名前さんも受験に集中するからって一緒に帰るのやめたじゃないですか」

『うん』

「それなのに、どうして突然?」

『…若と一緒にいたかったから?』

「なっ(///)」

名前の一言に日吉は顔を赤くする。

『あ、赤くなったー』

「名前さんは恥ずかしくないんですか?」

『あんまし。だって本当のことだし』

そういって名前は日吉の手をとり自分の胸の前に持ってくる。

『若って凄いよね』

「なんですか、唐突に」

『んっとね、若と一緒にいると嫌なこと忘れられるなぁってこと』

「何か嫌なことでもあったんですか?まさか忍足さんに何かされたとかですか?」

『違うよー』

アハハ、と笑いながら名前は続ける。

『受験のこととかいろいろ…ね』

「…心配して損しましたよ」

『えーそんなことないよ。若にも関係あることだよ?』

「俺の受験は来年ですが?」

『ソレだよ。若が受験するまでの一年間。今より逢えなくなっちゃうでしょ?一日だって寂しいのに一年は長いよ。長すぎるよ』

言うなり名前は目を伏せる。

「しょうがないでしょう、それに丸々一年逢えないという訳でもないんですから」

『そうだけどさぁ』

「逢おうと思えば毎日でも逢えるでしょう?」

そう言いながら日吉は空いてる方の手で名前の頭を撫でる。

『うん、そうだね』

エヘヘと笑う名前の顔を日吉は愛おしそうに眺める。

「それはそうと名前さん」

『何?』

「いい加減手離した方がいいですよ」

『何で?』

「言うタイミングがなかったので言いませんでしたが、俺の手名前さんの胸に当たってます」

『ぇっ(///)』

「…無意識でしたか?俺はてっきり誘ってるんだと」
『ちち、違うよ?』

名前は日吉の手をパッと離す。

「違うと言ってももう遅いですよ?」

身の危険を感じ、名前はたじろぐ。

『いや、ちょっと…ねぇ?』

「…そういえば俺の好きな言葉知ってますか?」

『下剋上…でしょ?』

話題が変わったので少し安心して話を聞く。

「はい。で、俺下剋上したい人二人いるんですよね」

『?誰?』

「一人は跡部さん。もう一人は…名前さんです」

『私?どうして?』

「こういうことですよ」

言うなり日吉は名前をお姫様抱っこしてベッドに押し倒す。

名前はというと突然のことに頭が回らず、固まっている。

「下剋上だ。…ベッドの上でな」

耳元で囁きそのまま首筋に舌を這わせる。

と次の瞬間強く吸い付く。

『っ』

名前の首筋に、紅い華が咲く。

それを満足そうに見つめ、今度は名前の唇に深く口付け、舌を絡めとり歯列をなぞる。

『んっ…ふぅっ』

名前からも声とはいえない声が漏れる。

貪るよぅなキスに名前は酸素を求め日吉の胸を叩く。

それに気付き日吉は名前の唇から自分の唇を離す。

その間を名残惜しそうに銀色の糸が繋ぐ。

『はぁっ…はっ』

「名前さんが悪いんですよ?俺は名前さんを襲う気なんてなかったのに…名前さんが誘うから」

『誘って、ないっ』

「俺も男だってこと、よく覚えておくことですね…楽しませて貰いますよ?」





次の日。テニスコート。

「名前さん、どうして首に絆創膏貼ってるんですか?」

『誰のせいだと思ってるの?腰も痛いし』

「別に隠すようなことでもないと思いますが」

『恥ずかしいでしょ?痕消えるまで貼っておくからね』

「…消えないと思いますよ?」

『何で?』

「消える前にまた俺が付けるんで。覚悟しておいて下さい」

『なっ(///)』

「下剋上…ですよ」





END



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