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僕らの赤い糸 †未央様リク(白石甘)
それはテニス部マネである名前がプリント類の作業をしようとしていた時のこと。

『あーもう!何でこないにプリント散乱してんねん!』

部室に散乱するプリント。

どうやら、誰かがプリントの山を机の上に置き、風で飛ばされてしまったようだ。

『アホー!どうせ謙也かユウジやろうけど、アホー!』

軽く悪態をつく。

そして仕方なくプリントを集める。

『明日アイツらに会うたら文句言うてやるわ…』





プリントを集め終わり、作業を開始する。

と、部室のドアが開く。

『蔵?帰ったんやなかったん?』

そこにいたのは名前の想い人、白石蔵ノ介。

「ちょっと忘れ物してな」

『何忘れたん?』

「決まってるやん。名前や」

『…えっと、このプリントは…ここを書いて…』

自分の口説きをスルーされ、白石はたまらず口を開く。

「つっこんでや!ボケっぱほど辛いもんないんやで?」

『知ってんで?せやから無視したんや』

「冷たいやっちゃ…」

『放っとき。……っ』

名前が小さく声を上げる。

小指を見れば赤い血が滲んでいる。

どうやら紙で手を切ってしまったようだ。

「どしたん?あぁ、切ってもうたん?っちゅーかけったいなトコ切ったなぁ、自分。ドジちゃう?」

『どーせドジですよー』

頬を膨らませて名前は言う。

「可愛えぇやん。ちょっと手貸し?」

『何すん――!!』

何すんの?

そう言うつもりだった名前は最後まで言葉を紡ぐことが出来ず、固まっている。

なぜなら白石が怪我した名前の小指を口に含んだから。

白石の舌が優しく傷口を嘗めているのが分かる。

名前は恥ずかしくて俯いてしまう。

『(///)』

その反応を楽しむように白石は笑いながら指を嘗める。

「消毒終わり」

そう言って名前の手を離す。

何気なく小指を見ればまたうっすらと血が滲んでいる。

名前は慌てて自分の指を口に含む。

それを見て白石はニヤリと笑う。

『な、何や?』

「気付かへん?自分、今俺と間接チューしよったで?」

『!!(///)』

真っ赤になる名前を見て、白石は微笑む。

「ほんま名前は可愛えぇなぁ」

『(私、蔵には一生勝てない気がするわ…)』

そう思った名前だった。





『なー、蔵、絆創膏持ってへんのん?』

「悪いなぁ、持ってへんわ」

『使えんやっちゃなぁ。テニス部なのに』

「自分、テニス部にどういうイメージ持ってんねや…」

『テニス部って生傷多そうやん?だから絆創膏持ってそう…って感じ?』

「あんなぁ…。絆創膏はないけどイイモンあんで?」

白石はそういうと自分の左手に巻かれている包帯を小指を残し少し解く。

『何すんの?』

「えぇから。もっかい手、貸し?」

名前はまた手を差し出す。

その手を取り、先程解いた包帯を巻く。

「どや?」

『えっと…これは?』

「題して、“運命の赤い糸”や」

『なんでやねん!っちゅーか赤くないやん!』

見事なツッコミである。

流石関西人。

「えぇツッコミやん。……でもな、俺、名前と赤い糸繋がっててほしいなぁって思うねん」

急に真剣な顔になる。

そしてどこか切ない、そんな声で言葉を続ける。

「俺な、名前のこと、めっちゃ好きやねん…」

そんな声で言われると、こちらの胸まで苦しくなる。

『ホ、ンマ?』

白石はこんな時に嘘を言う男ではない。

分かっているのに、思わず口から出た言葉。

「ほんまや。俺と付き合うてくれへん?」

そこにはいつも余裕そうな顔をしている白石の姿などどこにもなかった。

『…ええよ。うちも蔵のこと、ずっと好きやったし(///)』

自分の顔が赤くなるのが分かる。

「ホンマ!?」

『ホンマ。うち嘘ついたことないで?』

「せやけど…」

名前はまだ納得いかなそうな顔をしている白石に口付ける。

『…これでも信じられへん?(///)』

急に恥ずかしくなり、白石に背を向け、少し距離をおこうとする。

しかし、白石の包帯によって互いの小指が結ばれているため、二人の距離はあまり変わらない。

と、後ろから強く抱きしめられる。

「名前の気持ち、よう分かったで?」

『っ(///)』

白石は低い、そして優しい声で囁く。

「…おおきに、な。名前のこと、めっちゃ大事にするから」

『頼むで?』

「任せとき!」





二人は互いの小指を繋げたまま、残った作業を進める。

「終わったー!ほな、帰んで?」

『えっと…ちょっと、蔵ノ介さん?』

「なんや?」

『手ってこのままなん?』

「当たり前やん。俺達の赤い糸やで?」

『せやから赤くない――』

言い終わるより早く名前の唇は白石の唇によって塞がれる。

「ええから。帰んで?」

にっこりと綺麗に微笑む。

『(その顔、反則や…)』

そう思うものの、大人しく付いてゆく。





『…蔵、やっぱめっちゃ恥ずかしいんやけど…(///)』

「俺は恥ずかしくないで?」

二人は未だに互いの小指を繋げたまま。

はたから見ると、少し怪しい。

「ええやん。名前は俺のもんやでー!って宣伝してるみたいやん」

『…んな宣伝いらんわ』

やれやれと名前はうなだれる。

「名前、顔上げ?」

顎に触れ、顔を上げさせ視線を絡める。

「好きやで」

そう言い深く口付ける。

角度を変えて、何度も。何度も。

『ふっ、…ん』

唇を離すと銀色の糸が名残惜しそうに二人を繋ぐ。

「絶頂?」

『なっ(///)』

名前は口をパクパクさせているが、白石はそれに構わず歩き始める。





二人の小指に本当に赤い糸が結んであるのは、本人達でさえも知らない。





END



☆あとがき☆

やっと書き終わりました。白石夢です!白石ってこんなキャラでしたっけ?よく分からなくなってきました(汗)
諒のなかで白石はドS&腹黒キャラなんですけど…なんでかこんな話に…
駄文ですみません…m(._.)m
よろしければ感想等下さいませ

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あきゅろす。
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