成分

「私も、不思議なことがあったのよ」

メイルは口にした。

「結界を張っておいたにも関わらず、昨日、廊下でも、黒い影を見た。だから警戒してたんだ。スイッチャーと呼ばれるものを、本人情報のよりしろにすることで、結界を逃れようとしてるのかもしれない」

「なに、それ?」

フィルは驚いた。
結界があったことも、メイルが常になにかと戦う気でいることも。
知らない単語にも。

「結界の仕組みは、その人物の血を照らし合わせて、成分の混じり具合から相手を弾いてる……でもね、意識的に血の成分をごまかす薬品が出回ってる」


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