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「薔薇め……」
唸っているストックフィリアが倒れたままつぶやいたのは、純血を花に例えたときの言葉。
「諦めなさい」
それを聞いたとたん、急激に気持ちが冷えていく気がしてフィルは再び本を掲げる。
「そうだ、なにか、嫌いな『植物』を、紹介してくれ。
買わないと、明日の食事も出来ん」
「知らない」
その場に、ガツ、と強い音がした。
……
「あ、フィル、大丈夫?」
ドアの向こうから、メイルが顔を出した。
「さっき、あいつの体勢を崩してくれたの?」
「え?」
メイルはきょとんとしている。
「不思議だな、じゃあ、なんで……」
「なんでって?」
「ストックフィリアが現れたという情報を聞いて、今駆け付けてきただけなんだけれど」
メイルではないなら、誰が、あいつを。
「そう、会ったの。そいつに……明日の食事も出来ないと言ってた」
「純血を、所有物にして売り飛ばす気だったんだ」
「それ以外に、無いのかな、ご飯を食べる方法」
メイルは寂しそうな顔をした。
「そうやって食べてきた自分に、誇りを持ってるんだと思うから。プライドをかけて狩ってるんだよ」
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