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ラコとデンシンは、二人、廊下を歩いていた。
「あんたも仲間とはぐれちゃったの?」
ラコが、偉そうな態度で聞くとデンシンはゆっくり頷いた。
「そうなの。いっつもは真性構ってちゃんなのに。今日に関してはどうしたのかしらね? いつものパジャマも着てないみたいで……昨日からおかしかったもの」
「ふーん私のとこは、タロウのやつが……っと、あれ?」
ラコは、何かの異変に気がつく。デンシンはというと、キョトンとしている。
「どうかした?」
「なんかこの道って、さっきも来たと思って……あら。おかしいわね……」
デンシンが、辺りを見渡してから、はっとしたように呟く。
「あらあら。どうやら『敵』が居るみたい! お前、後ろ見なさい」
ラコが振り向くと、そこにはでかくて黒くて人状の影が、牙を向くようにして立っていた。ガアアアアアアアアー!
悲鳴が上がる。
ラコは、青ざめた。
「う、そ……」
影はタロウのスーツを着ていた。
「お前、なにぼさっとしてるの。武器はある!」
「た、たた、たたかいたく……ない」
ラコは動揺していた。
生まれてこのかたはじめてと言うくらいの動揺だった。
自分を好きになってくれた人が、自分を傷つけるわけなどないのだ。信じられない。
タロウはというと、完全にこちらに敵意を剥き出していた。
「私が好きって、言ったわよね? 私、信じていいのよね?」5/27 0:12
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